カナダでエンジニアやってます、TOSHIです。
私はギリギリ30歳になってからワーホリビザを取得し、31歳でカナダに来ました。
俗に言う「ギリホリ」です。元々日本ではSIerの会社でエンジニアとして働いていましたが、会社をやめてカナダに来ました。
こちらに来る前は、ワーホリ経験者の方々から「ワーホリという1年期限のビザで、責任あるフルタイムの仕事を見つけることは難しいよ」と散々言われてきました。手に職、と言われるエンジニアさえも。さらに私の場合は夫婦での渡航だったので、カナダ移住は大きな決断でした。英語もできるわけでもありません。
しかし、日本にいた頃に色々準備していたおかげで、すぐにカナダ現地の会社でエンジニアとして働き始めることができました。周りを見て思いますが、事前準備がなかったら仕事を見つけられなかったと思います…何かしら見つけられていたとしても日本食レストランのサーバーなどで、エンジニアではなかったはず。
スムーズに現地での仕事を見つけるために私が日本で何を準備してきたのか、この記事でお話したいと思います。
何の準備なしに「まずは行ってから考えよう」では危険です。
これからワーホリを考えている、キャリアップをしたいという方の参考になると嬉しいです。
ワーホリでフルタイムの仕事を見つけるのは厳しい
もしこの記事を読んでいる方で「海外で経験を積んでスキルアップしたい!」と思っているなら、皆さんフルタイムで働きたいですよね。
その方が給料は良いですし1日当たりに費やす時間を増やした方が経験や知識が増えるのは必然です。
しかし、フルタイムのハードルは思った以上に高いです。カナダは失業率7.8%(2021年7月時点)で、日本の失業率3%(2021年7月時点)の2.6倍です。そんな厳しい中、ローカルの人々を押しのけて仕事をとるのは難しいに決まっていますよね。「カナダの文化も知らない、ビザは1年しかない、英語もネイティブじゃない人でも採用したい!」と考える会社は稀です。
準備なしにカナダに来て、フルタイムの仕事を得られずに日本食レストランのパートタイムのアルバイトをして、そのまま帰っていく日本人を多く見てきました。決してそれが悪いとは言いませんが、本来自分がしたいと思った仕事でスキルアップを考えているなら、しっかり準備して確実にフルタイムで働いた方が良いと思います。
日本で何を準備できるの?
3年以上の実務経験を身につけておく
「カナダの文化も知らない、ビザは1年しかない、英語もネイティブじゃない。でも採用したい!」と思わせるようなスキルが必要です。
カナダでは未経験はほとんど雇ってくれません。
だから、カナダ人でも大学を卒業したばかりの新社会人は仕事がない人が結構いるんです。トップクラスの大学だとしても。
カナダ人の友人も「卒業したばかりの学生に対して “経験がないと採用できない” というのは矛盾してる。おかしいシステムだ」と言っていました。日本のような新卒採用もありません。皆インターンなどでまず実務経験を得てから転職をしてステップアップしています。
逆に言うと、実務経験を証明できれば強いです。
例えば、リーダー職やマネジメント職なら実務経験5年以上、エンジニアなら実務経験が3年もあれば申し込みできる企業の数は大きく変わってきます。
ただし注意しておきたいのが、「職場での実務経験」が最重要なのであって、プライベートの実績はその次、ということです。趣味程度の開発経験だと評価されない可能性が高いです。
求められるスキルをindeedで探す
「実務経験をつける」とはいっても、ゴールが見えにくいですよね。やみくもに準備しようとしても時間がかかるし要領を得ません。
まずは
・どういう会社に勤めたいかをイメージする
・その会社で求められるスキルを調べる
これをやっておくと、何をどこまで準備すべきかが何となく見えてきます。
要は、面接で「あなたの会社で求められている●●という経験をこんなに積んでますよ!」ということがアピールできればいいのです。
例えばエンジニアの場合は、どういった開発言語の求人が多いかがまず気になると思います。それはindeedで検索してみるのが早いです。indeedはカナダでよく利用されている就職/転職用Webサイトの1つです。
indeedで調べてみる場合は、職種に「software engineer」で場所に「Vancouver, BC」と入力してみると今の募集要件がわかります。
2021年7月時点ではざっと見てみると以下のような感じでした。
- クライアントサイド…1位: Javascript(React JS, Vue.js), 2位: Typescript(Angular)
- サーバサイド…1位: C#, 2位: Java, 3位: Python
indeedに掲載されている求人情報はあくまで一部の会社なので、ここに書いてあることが全てではありません。ただしどんな経験が求められているのか何となくのトレンドが見えるだけで準備の方向性は変わるはずです。
一番大事な「コネ」を探しまくる
北米はコネがあってなんぼの世界です。仕事のとり方は圧倒的にコネが多い。
「コネは現地でつくるものでしょ?」と考える人も多いと思いますが、案外、日本で見つけられるものです。特にカナダでもバンクーバーなどの都市は日系企業が多いので。
ぜひ日本にいながら現地のコネを探してみてください。
これで一つでも見つかれば、圧倒的に有利です。一つ繋がれば、そこからまた紹介してもらえるなど広がっていきます。
私の場合、同じ会社の役員の方が実はバンクーバーで起業していることがわかって、運良くそこに就職することができました。
そんな話は全然聞いたことがなかったので、「えっバンクーバーに会社あるの!?」とかなり驚きました。しかもその方とはそんなに近い存在でもなく、人伝いでつなげていただいた感じです。前職は当時従業員4,000人の企業だったので、役員の方との接点ってあまりないんですよね。想定外でした。
面接をしていただき、無事採用。ちょうど日本企業とプロジェクトをやろうとしていて、その橋渡しができる存在を探していたことも大きかったと思います。
このケースはラッキーですが、見つけようと思えば他にも方法はあります。
・エンジニアのイベントに参加する
・Facebookなどでカナダ行きを発信する
などなど。
実際、奥さんはFacebookでカナダ行きについて投稿していたんですが、それを見た人から友達紹介してもらったり仕事もらったりしてましたね。
意外とどこかにつながりはあるものです。「自分にはない」と決めつけないで一度探そうとしてみてください。
LinkedInアカウントの準備
LinkedInのプロフィールはしっかり作り込んでいたほうがいいです。
これは私は現地に来てからやったので、日本でやっておけばよかったなと思っています。
北米ではビジネスのリレーション構築にはLinkedInが使われており、人事・採用の人も頻繁にチェックしています。LinkedInからオファーが来る、もしくは個人的に採用担当者に連絡して実際に採用に繋がるケースも多いです。私のカナダ人の知り合い数人も転職の際はLinkedInからでした。
LinkedInって日本ではあまり使われていないので、私もアカウントは持っていましたが全然動かしていませんでした。
それが、現地のリクルーターの方と話す機会があって、「LinkedInには情報たくさん載せておいたほうが絶対にいいよ」と言われ、半信半疑でプロフィールに情報を追加したら、びっくり。
これまで採用のオファーなんてきたことがなかったのに、毎月3~4件来るようになりました。
準備する内容はこちら。
LinkedInのプロフィールを完成させる
LinkedInのプロフィールを作成するにあたって、以下のポイントを参考にされると良いと思います。
- プロフィールは英語で作る
- どのポジションで何をしていたか具体的な経歴を書く
- “Recommendation(推薦)”を英語で書いてもらう
1「プロフィールは英語で作る」については、今もしLinkedinのプロフィールを日本語で登録している場合は英語にしてください。リクルーターが日本語を読めないと全く伝わりません。
どうしても日本語のプロフィールもほしい場合は、セカンダリプロフィールで日本語を設定するといいです。もしリクルーター側が言語設定を日本語にしていれば、そのセカンダリプロフィール(日本語)が表示されます。
次に、2「どのポジションで何をしていたか具体的な経歴を書く」についてですが、プロフィール上の “Experience”のところに自分の経歴を書くところがあります。「2年間●●という会社でエンジニアしていた」というように入力するのですが、特に”Description(詳細を書くところ)”はぜひ記入しておいてください。具体的にどういうシステムを開発したのか、自分はどんな役割を担っていたのか(リードエンジニアとして先端技術の調査検証をした?)…など。
3の「”Recommendation(推薦)”を英語で書いてもらう」は1とも関連していますが、日本語で推薦を書いても結局読んでもらえません。そのためカナダの人にちゃんと読んでもらえるように英語で書いてもらうわけです。例えば頼む相手としては、前職の上司など。
英語で書いてもらうのがハードルが高ければ、一度日本語で書いてもらったものを自分で英語に翻訳し、それを渡してアップロードしてもらいましょう。
“Recommendation(推薦)”を書いてもらう場合の注意は、相手に推薦内容を任せず、「リードする力がある」、「危機的状況もしっかり乗り越える力がある」等、自分がアピールしたいポイントを相手に伝え、その方向性に沿って推薦を書いてもらうようお願いしましょう。これから自分がなりたいポジションに役に立たない内容を書いてもらってもしょうがないからです。
緊張せずにビジネス英語を話せるようになっておく
「英語を完璧にしてから来るべき!」とは言いません。最低限、カナダの人を目の前にしても緊張せずに話せるように「英語を話すことに慣れておく」べきです。
英語は慣れです。普段話し慣れていないと、なかなか英語が出てこないことは当たり前です。
私も英語力はまだまだですが、私より実は英語ができるはずなのに「しゃべらない」日本人が結構います。間違えるのが恥ずかしいからなのか、英語になると途端に無口になる人が多い。
英語は間違っていても問題ありません!
特にカナダは多民族国家。いろんな訛り、言い回しの英語が飛び交っています。文法が間違っていても、主張することがまず大事です。ぶっちゃけ、「英語のここが間違ってる」「アクセントが変」とか色々文句言ってくるのは日本人くらいだと私は思います。
想像してみてください。外国人が自分の職場に来て、「~についてどう思う?」と質問したときに「ゴメンナサイ。ワタシニホンゴニガテ^^;」とか言われたら全く信頼できなくなりますよね。それだったら、例え文法が間違っていたとしてしっかり意見を言ってくれる人のほうが信頼したくなるはずです。
オンライン英会話で「英語を話す」ことに慣れる
オンライン英会話は手軽に英語を話すために便利です。ぜひ活用しましょう。
テキストばかりやってたら「話す」ことに慣れていきません。英語を話す時間を作りましょう。
まあ一番手っ取り早く英語に慣れる方法は、「英語ネイティブの恋人をつくる」ことだと思いますが(笑)ネイティブの強力な味方がいれば上達はかなり早いです。
恋人を探すのに時間がかかりますからね。まずはオンライン英会話から。
オンライン英会話も色々ありますが、界隈で有名な5, 6つくらい試した私のオススメはBizmates(ビズメイツ)です。講師の質が他と全然違います。
ビジネス英語に特化したサービスなので、自分で会社をやってる経営者などビジネスキャリアを築いている講師が多いんです。エンジニア経験のある人などもいるので雑談も面白い。だから私は1年毎日続けられたっていうのもあります。
ただし講師によるので、講師選びは大事。ですが、少なくとも他のオンライン英会話サービスよりは全体的な講師のレベルは高いです。その分価格は高めですが、その価値はあると私は思ってます。
入社面接、上司への報告、お客様への自社商品のPR等、「ビジネス」に特化したテーマで英語の学習を進めておきましょう。
自分の英語力を知りたい時はduolingo english testを受ける
渡航前に自分の英語力の現状を知っておきましょう。客観的にみて自分がどのレベルにいるのか、渡航してからの伸び率などがわかります。
じゃあどのテストを受ければいい?というところですが、
私はduolingo english testをおすすめします。その理由は以下のとおりです。
- 受験結果が2日以内に届く
- Webで気軽に1時間程度で受けられる
- 金額はUS$49
- 一部のBoot campやカレッジなど、学校入学のための証明書として使える
1「受験結果が2日以内に届く」は、早く実力を知るためにはうってつけだと思います。例えばTOEIC等だと通常1ヶ月程度かかります。
2「Webで気軽に1時間程度で受けられる」については、他の英語の試験(2〜3時間程度)と比べてかなり短い時間だと思います。しかも4技能(Reading, Writing, Speaking, Listening)しっかりテストでき、Webから受験可能なので手軽に受けられます。
3「金額はUS$49」はお手頃価格です。例えばIELTSは約25,000円、TOEICは8,000円近くかかります。
4「一部のBoot campやカレッジなど、学校入学のための証明書として使える」については、例えばカナダの主要カレッジLangara Collegeなど一部の学校でduolingo english testが英語技能の証明になります。その他、エンジニアの方なら現地のBoot campに参加したい場合もあるかと思いますが、そういったところでも使える場合があります。(事前に調べてみてください。)
私はカナダに渡航する前にduolingo english testを受けて「これはちゃんと勉強しないとマズイ!」と危機感をもって勉強を進めることができましたし、渡航後の実力確認でも同じように利用しました。
アカウント登録すると「練習テスト」を無料で何度も試験を受けられるため、まずはぜひそちらを試してください。
まとめ
海外でキャリアアップをしたいと真剣に考えているならしっかり事前に準備をして、ワーホリビザを有効活用しましょう。
そうすれば「海外で自分の納得できる会社に入ってキャリアを積む」ことがぐっと現実的になります。
皆さんのキャリアアップが成功することを祈っています!
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