記事作成で大事なコツをたった1つだけ挙げるとするなら

記事作成のコツWebコンテンツ作成のQ&A

コンサルティングしていると、良い記事を作るための一番のコツをズバリ知りたい!とよく言われます。

私もまだまだ研究中ですが、この6年記事を書き続け、何冊も本を読み漁り、数社コンサルティングをしている私が必ず意識している「記事作成に絶対に外せないもの」があります。それを外すと絶対にいい記事ができない確信があります。つまり、裏を返せばこれがコツなのかなと思います。

そのコツは、ユーザーの「コアニーズ(ニーズの核・中心となる部分)」を見つけ出すことです。

記事作成の一番のコツは、「コアニーズ」を見つけ出すこと

読む人のニーズに沿って記事を書くというのはもう当たり前になっていますが、ここを想像以上に深掘りする必要があります。

「知りたい」「行きたい」「やりたい」といったニーズが想像しやすいですが、多くの場合これはまだまだ表面的なものです。そして「知りたい」といっても「あれも知りたい」「これも知りたい」とニーズは無数に存在します。そのたくさんのニーズを発生させている根源である、ニーズの中心、つまりコアニーズを的確に捉えることが記事作成のコツです。

日常に置き換えるとわかりやすいかなと思います。

例えば、あなたが誰かに質問したとき、返ってくる答えがイマイチの場合と「お、この人わかってるな」という場合はありませんか?

〜職場にて
パターン1
あなた「収支データの資料、今どんな感じ?」
後輩A「まだ途中です!」

パターン2
あなた「収支データの資料、今どんな感じ?」(できれば先方に早めに提出したいな)
後輩B「まだ途中ですが、今日中には完成予定です。もしかしてお急ぎですか?最速で今日の午後1時までにはできますよ。」

〜ランチ時
あなた「今日のお昼は愛妻弁当?」
後輩A「いや、愛妻弁当じゃなくて昨日の晩ごはんの残りを僕がつめてるんですよ」
あなた「・・・」(外に一緒に食べに行こうか誘おうとしたんだけどな)
〜プライベート
パターン1
「このプリン、誰の?」
「私のだよ」

パターン2
「このプリン、誰の?」(食べたいな)
「私のだよ。でも、食べてもいいよ」

ちょっと極端な例かもしれませんが、どれも質問に対してちゃんと回答できています。でも、その質問の奥にある意図がわかってないと、相手を満足させることはできないんです。

これは記事も一緒。何か知りたいことがあってユーザーはウェブ検索してるわけですから、質問しているのと一緒です。その質問そのものに100%答えたって感動させるような記事にはならないのです。質問の裏にあるコアニーズを知り、そこに的確にアプローチする必要があります。

執筆キーワードから推察するコアニーズは?

理解を深められるよう、具体的なキーワードで説明します。

例えば、「バンクーバー アプリ」というキーワードで記事を書くとします。

ニーズは「バンクーバーに来たらダウンロードしておくべきアプリを知りたい」だと考えられます。そこで思考を止めてはいけません。
なぜそれを知りたいのか?というところ、つまりユーザーのコアニーズに迫っていきます。

そしてもちろん、コアニーズは設定したペルソナによって異なります。

もし「1ヶ月後にバンクーバーに移住を考えていて、現地で便利なアプリがあったらダウンロードしておきたい」という移住前のユーザーであれば、コアニーズは「今、移住前にやるべきことをやり、移住後の生活をスムーズにスタートさせたい」だと考えられます。

一方、「バンクーバーに移住して1ヶ月経つが、まだ現地の生活に馴染めない。バスや電車に乗ってどこかへ行くのにも慣れず迷子になることもあるし、親しい友達もまだいなくて寂しい。物価は日本と比べてとんでもなく高く、食費は以前の2倍、家賃は3倍になってしまった。現地の生活をもっとスムーズにさせるアプリがあったらダウンロードしておきたい」という移住済みのユーザーの場合はどうでしょう。

コアニーズは「現地生活を今よりもっと楽しく、有意義にしたい」だと考えられます。移住前のペルソナと少し似ていますが、ニーズがより深刻になっているのがわかると思います。

つまり、記事で書く内容が若干変わってくるということです。

例えば、記事の内容はざっくりこう。

移住前ユーザーの場合は、

  • バンクーバー生活で絶対に必要なアプリ
  • 日本にいる間にダウンロードしておくべきアプリ(あれば。Uberなど日本でダウンロードするか現地でダウンロードするかで違う点が出るものがある)

移住後ユーザーの場合は、

  • バンクーバー生活で絶対に必要なアプリ
  • 現地のお得情報がわかるアプリ(日本でいう「メルカリ」や「Shufoo」など)
  • 現地の友達を作るためのアプリ(ミートアップ、イベントが検索できるものなど)
  • 現地の交通機関が簡単に使えるようになるアプリ(日本でいう「交通案内」など)
  • 各アプリの具体的な内容、便利な使い方、紹介コード

このようにニーズが深刻な移住後ユーザーの方が、より具体的に記事にすべき内容が見えてきます。すでに現地で生活を始めているので、他にすでにダウンロードしているアプリもあるはず。「本当にこのアプリいいの?」と吟味する力も持ち合わせています。そういう人が納得するような記事を私たちは書かなければいけないんです。

表面的な「知りたい」ニーズに囚われてはだめ

さきほどの例のように、「知りたい」というニーズの奥にもっと切望しているコアニーズが必ずあります。それを見つけ出してコアニーズまで満足させる記事を書かないと、他を圧倒するような素晴らしい記事はできません。
なぜなら表面的なニーズを満たすだけの記事なら今の時代溢れるほどあるからです。わりと誰でも、経験や知識がなくても、ちょっと調べたくらいで書けるからです。

ただし、実際のところ、移住後のユーザーのように強いコアニーズを持っている人はそんなに多くありません。みなさんも経験あると思いますが、日々何度もウェブ検索している中で「なんとなく知りたいから」で検索していることがほとんどではないでしょうか?

コンサルティングをしていても、ペルソナを「情報収集していて、なんとなく全体像をまず知りたい人」と設定する方がとても多いです。もちろん、そういう「なんとなく」ユーザーは検索ユーザーの中で大きなパイを占めます。

でも、そのレベル感に合わせたら良い記事はできません。移住後と移住前のユーザーの違いのように、「なんとなく」ユーザーにはそれなりの提案内容しか出てこないからです。

そもそも、そういう「なんとなく」の人は差し迫った状況じゃないのでほぼコンバージョンしません。つまりあなたのお客さんではないんです。たとえコンバージョンして問い合わせが来たとしても、「情報がほしい」とだけ書かれたような、かなりレベルの低い問い合わせになるはず。無駄な対応の手間がかかってしまいます。

コアニーズを満たすアプローチ方法を考えよう

コアニーズを見つけ出したとしても、そこへ的確にアプローチしていかないと意味がありません。ユーザーのために具体的に何をどのように記事にできるかを考えていく必要があります。そのプロセスを少し説明します。

例えば、あなたが観光業界の会社で、「ガストロノミーツーリズム」というキーワードで記事を書くとします。

ちなみにガストロノミーツーリズムは近年広まってきた新しい言葉で、超簡単に言うと「食を中心としたツーリズム」のことです。「美味しいものを食べる」ことは旅行の目的として上位にあがります。そこで、訪れる観光地も体験ツアーなどのアクティビティも「食」という切り口で提供していくのがガストロノミーツーリズムです。

おそらくこれまで同じような観光コンテンツはあったでしょうが、見せ方を食に振り切る形でガラッと変えるといったイメージに近いと思います。

さて、どういう記事を書くかを考えていきます。
ここではよくあるものをレベル別で紹介します。

 

「ガストロノミーツーリズム」

レベル1★☆☆

「新しい言葉なので定義を知りたい」はず。定義を説明する記事にしよう!

→全然だめ。定義を知っただけで満足するようなユーザーはコンバージョンしません。あえて書く理由がないなら必要なし。どうしても定義が必要なら冒頭にさらっと書くくらいで十分でしょう。

 

レベル2★★☆

「具体的にどういうものなのか知りたい」はず。良い事例を紹介しよう!

→イマイチ。世界のどんな事例をどのように紹介するかが大事です。「この記事は事例集にしようと思います!」とよく相談されるのですが、「具体的にどんな事例をどのように紹介する予定ですか?」と聞くと答えられない人が多いです。

 

レベル3★★★

「もっと観光客を呼び寄せたい。地元の食には自信があるので、ガストロノミーツーリズムが最高の一手なのか見極めたい」と思っているはず。世界の事例を集めた中で特に良い◯◯と△△の例を挙げ、成功したポイントと進め方(関係各所へのアプローチ方法)について紹介しよう!

→最低限このレベルまでいきたい。コアニーズが「もっと観光客を呼び寄せたい」なのだから、本当に観光客増を目指せるかどうかを確信させ、ガストロノミーツーリズムを取り入れようと行動に移させる必要があります。(それが本当にいいものである場合に限ります)

つまり、ユーザーに「これはやるべきだ!」と思わせるような具体的な成功ポイントは必須。実際にやろうとするのですから、具体的に行動につなげられるような内容でないと意味がないのです。(後者は別記事に切り離してもいいが、ある程度は書くことと動線をしっかり作ることが大事)

レベル1は話にならないですが、レベル2のケースによく遭遇します。「事例を紹介する」というところまでは良いのですが、何の事例をどう紹介していくかが重要です。記事を書く前にそこまでだいたい想定していないと、どこかでズレてしまって良い記事はできないことがほとんどです。

自分自身がレベル2にとどまってしまっていないか、今一度確認してみてください。(私も頑張ります汗)

もう一歩踏み込むなら、実行する際の「一番の障壁」を見つけ出そう

もう一つポイントを紹介します。コアニーズを考えていく上で、セットで考えた方がいいものです。それは、ユーザーの行動を妨げる「一番の障壁」を見つけ出すこと。

先述の例のように、コアニーズを満たすことができるとユーザーは行動に移したいと考えます

しかし、人は新しいことを「やりたい!」と強く思っていても、同時に「本当に大丈夫か?」と不安があるもの。実際、新しい何かを始める際は必ずサイドエフェクトがあります。中でも一番の障壁を事前に想定して言及してあげる、できれば回避方法や注意点を提案してあげると、記事のレベル感がもっと上がります。

例えば、ガストロノミーツーリズムを新たに導入する際の一番の障壁は何でしょう?
費用がかかる?人手がいる?

これらは必ずついて回りますので、他にないかを考えます。

観光の地域性を考えると「食という切り口に振り切ったときに、地域で外れてしまうところがあるのではないか?」というのが一つ大きな障壁ではないかと思います。(観光関連にはあまり詳しくないので、違ったらすみません)

今まで観光ツアーには組み込まれていたような体験アクティビティーや観光スポットが外れてしまうかもしれない、ということですね。地域から反感を買う可能性があります。下手したら実行できないかもしれません。

ガストロノミーツーリズムに詳しい観光のプロに言わせると、「ほとんど食に関連させることは可能」らしいですが、やったことのない人に向けて具体的にどうやるのか、一部地域からの反感をどう回避するかを提案してあげると良い記事になると思います。しっかり関係者みんなを巻き込んで地域全体を盛り上げたいはずですから。

こういった「一番の障壁」に対する注意点や回避方法があるかないかでは、「私のための記事だ!」とユーザーの印象に残るかどうかが大きく変わります。

さいごに

記事作成の一番のコツというと、「コアニーズ」を見つけることだと私は思います。そのコアニーズを見つけるには本当に真剣にユーザーのことを考えないといけないんですよね。

もちろん私も「コアニーズがわからない!」ということはあります。そういうときは、今私にその記事を書く能力がないということだと思って潔くあきらめています(笑)いつか知見や経験を積んで書けるようになってやる!と思いながら、意識して日々勉強してるときっと書けるようになっているはず。

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